短編「48の時代」
そこには、歓喜があった。企業による支配。それがレジスタンスによって打ち破られ、自由が戻ってきたのだ。
そんな、歓喜に湧く人々を、GS機と共に見つめる男がいた。
「……すべて、終わったのだな」
良き市場──。そのための支配が続いて、はや何年になっていたのか
確かな安心の中、それでも自由/混沌を求め生まれたレジスタンス。
彼らの勝利と共に、企業により市場を乱し、信用を貶めるとされた者たちが霧の彼方より少しづつ帰ってきた。
「プロサーファー・ゴード」
「スゲジャー」
「NO センタクブレイクン」
「サブンライズ」
「シャンラン」
彼らに、多くの者たちは顔をしかめ、一部のもの好きは顔を輝かせた。だが、どちらにも確かな喜びがあった。
レジスタンスのリーダーである「DC」は、人々から目を離すと、愛機を見上げた。
オーバーヒートにより煙を上げる、彼の相棒である愛機「M社製 GS機《M64-Hitplate》」を。
「ここまでずいぶんと──無理をさせてしまったな」
彼はふと、相棒のように己も煙を吸おうと、不謹慎に懐からタバコを取り出し口に咥えた。
……だがDCは、咥えたタバコに火を着けること無く手に持ち直し、いつか母に聞かされた古き寝物語を思い出した。
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