2024/11/24

短編「48の時代」

 短編「48の時代」



 そこには、歓喜があった。企業による支配。それがレジスタンスによって打ち破られ、自由が戻ってきたのだ。


 そんな、歓喜に湧く人々を、GS機と共に見つめる男がいた。


「……すべて、終わったのだな」


 良き市場──。そのための支配が続いて、はや何年になっていたのか

 確かな安心の中、それでも自由/混沌を求め生まれたレジスタンス。


 彼らの勝利と共に、企業により市場を乱し、信用を貶めるとされた者たちが霧の彼方より少しづつ帰ってきた。


「プロサーファー・ゴード」

「スゲジャー」

「NO センタクブレイクン」

「サブンライズ」

「シャンラン」


 彼らに、多くの者たちは顔をしかめ、一部のもの好きは顔を輝かせた。だが、どちらにも確かな喜びがあった。


 レジスタンスのリーダーである「DC」は、人々から目を離すと、愛機を見上げた。

 オーバーヒートにより煙を上げる、彼の相棒である愛機「M社製 GS機《M64-Hitplate》」を。


「ここまでずいぶんと──無理をさせてしまったな」


 彼はふと、相棒のように己も煙を吸おうと、不謹慎に懐からタバコを取り出し口に咥えた。


 ……だがDCは、咥えたタバコに火を着けること無く手に持ち直し、いつか母に聞かされた古き寝物語を思い出した。

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