2024/03/03

エルデンリングDLC ミケラ登場シーン予想

 エルデンリングDLC ミケラ登場シーン予想

光輪に降臨。これがやりたかっただけ


「ここまでだな」

「ハァ…ハァ……」

 影の地──所々と燃え盛る野原にて、ふたりの戦士が相対していた
だが二者には、例え戦士でなくとも、一目でわかるだろう大きな差があった

 ひとりは、貴人だろうか?
赤い鎧に蛇を纏わせ、槍を手に、地を見下ろす偉丈夫

 1人は、騎士だろうか?
薄汚れ焼け焦げた鎧を身に着け、倒れ伏そうと地を見上げ、手にした剣を離さぬ褪せ人

 立つ者と、倒れる者。実にわかりやすい差が、そこにはあった



 こんなものかと、偉丈夫、マリカの子──串刺し公メスメルはもはや興味はないのか、倒れ伏した褪せ人から視線を外した

(これは、舐められているな。だが……)

 敵から、視線を外す────
傲慢なそれに、褪せ人は何も言わない
傲慢だが、ある意味で正しいからだ


 ────メスメルと褪せ人の戦い
褪せ人は傷つき地に伏せる一方、メスメルは揺らぐこともなく立っている

メスメルに傷はあれど、致命傷には程遠く、殺すには足りてない。褪せ人は敗者だった


 メスメルは、もう褪せ人の力を測り終えていた
星を砕く力も、流れるような技もない
 ならば、他にいるかもしれない仲間を警戒する

 それは当然のことで、ただただ正しかった。故にメスメルは、褪せ人にとどめを刺さずに生かしている

 メスメルは蛇のように油断なくあたりを見渡しながら、褪せ人に問うた

「仲間はいるの──」



 戦場において、「油断と侮り」は命取りであり、その対価は往々にして重い

「ッッッ!!」

 僅かな隙を見つけた褪せ人は、地を獣のように這いながら右手の「ロングソード」を刺剣に切り替え、メスメルに迫る。

 褪せ人が狙うは急所、首に心臓に腹。すなわち真正面
 風のように早く、嵐のように強く踏み込んだ褪せ人は、懐に飛び込み急所を狙い突き刺した



 ────会心の一撃。戦神ラダーンをも倒した褪せ人が放った一撃は鋭い。
 狭間の地を駆け巡り鍛えられたそれは、まさに致命の一撃。当たればメスメルトとて……

だがメスメルは1人ではない

「……シュー」

 メスメルは視線を外したが、友である蛇はずっと褪せ人を見つめていた

「……」

 当然に褪せ人は、メスメルの手に捕まってしまう。ググッと、メスメルは凄まじい怪力で褪せ人を掴んでいる

「ッッッ!」

 掴まれた褪せ人の身体が白い闘気に包まれる。
 これからの末路へのせめてもの抵抗か、戦技・我慢を使ったのだ

 グッ。右手はメスメルに掴まれ、刺剣は届かず。
 ギュ。その左手は、空いた右手に掴まれた



 ──カラン
刺剣を手放し、右手が空いた、褪せ人に

「!?、そうくるか!」

 褪せ人も見られていることは分かっていた
 故に褪せ人に防がれた動揺はなく、むしろ好機と捉えていた。褪せ人は「坩堝の祈祷・棘」を発動し、メスメルを串刺しにしようとする



 褪せ人の策は、見事であった
だが、メスメルがしたように、油断と侮りは命取りであり、その対価は重かった

1つ。メスメルは褪せ人が思うより、自らに傷をつけ、今だ諦めぬ戦士を、褪せ人を警戒していた
2つ。メスメルは蛇を、友を信頼している

「見事だ」

 当然それを、メスメルが許すはずもなく。メスメルは左手により力を入れ、褪せ人を掴んだ。
 逃れられぬ褪せ人に向け、メスメルの右手からは火が噴出する。

それはメスメルたちの身ごと褪せ人の棘を強く焼いた

「………」

 焼け焦げた褪せ人は、ただ沈黙していた

 棘で幾らか軽減されたとはいえ、直接火で焼かれた褪せ人はもはや死にかけである。話すことも、メスメルを振りほどくことも、最早できないのだろう

「光無くとも、やはり戦士には変わらぬか……」

 メスメルからは、褪せ人に対する油断はなくなり、彼は確実に褪せ人を殺そうとした




 ──戦場においてそれ、油断と侮りは命取りであり、その対価は往々にして重い

褪せ人はその対価を支払った

 ──そして対価とは時に、悪運とともにやってくる
そしてメスメルはまだ、対価を払いきっていないようだ

 ブン───3つの聖なる光輪が、背後に大量の光臨を引き連れ、突如としてメスメルに降り注ぐ

「ッこれは、ミケッ!!?? グッッ!」

 寝たふりから目覚めた褪せ人は、メスメルに短剣を突き刺しながら食らいつき、回避を妨害する

 褪せ人とは今だ死にきれぬ、死者であり、みな戦士の末裔である

 死の淵とて、褪せ人は挫けない
メスメルを振りほどけはしないが、しがみつく事はできる

「シャー!」

 褪せ人を引き離そうと、蛇が噛み付こうとする。だがその時、"ドシュウ"という音が褪せ人の顔の穴から洩れた……


 ────否、叫ばれた。それは我慢、戦技・我慢、あるいは痩せ我慢。

 騎士ベルナールから継承せし、戦士のたちの英雄譚のひとつ
 褪せ人とはいまだ死にきれぬ者、戦士の末裔。いまだ戦士ならば、歯を食いしばりッ、立ち上がるのだろう! その最後まで!

「────!!、ッアア!」

 意地で耐える褪せ人は、そのまま強引に坩堝の祈祷を発動しようとする

「グッ!!」

 メスメルは、早く褪せ人を始末したかった
 だが、四方八方から降り注ぐ光輪の雨を捌きながら、死にかけとて歴戦の戦士を殺すのは容易いことではない



 光輪に集中すれば褪せ人、褪せ人に集中すれば光輪がメスメルを傷つける

「仕方ない!」

 バッ。メスメルは被弾を覚悟し、褪せ人を強引に放りなげ、光輪の迎撃に移った


(とりあえずは助かった……)

 褪せ人はしがみつくことより継戦を優先し、勢いを利用し遠くまで飛ぶと、地面に着地する

(こちらには飛んでこない。味方か、それとも……)

 自身に光輪が飛んでこないと分かると、褪せ人は聖杯瓶で回復した


「ふぅ……」
「我々に顔を見せないのか? ミケラ──」

 光輪を捌き切ったメスメルは、光輪が飛んできた方向に声を掛ける
その声には、僅かな苛立ちが混ざっていた

(ミケラ…探し人が向こうから来るとは……)

 残り少ない瓶を見つめながら、褪せ人は悩んだ。ここで撤退するか、ミケラが出てくるまで戦いを続けるか……

「確かにここは戦場とはいえ、戦士の戦いに水を指しながら、顔も見せないのは礼を失しているな」
「勇猛なる戦士たちよ、ここに非礼を詫びよう」

「ほう…」

「ッ!」

メスメルはその力に目を細め、感心したが、褪せ人はその異様な光景に、思わず慄いた


 ブン───
30、300、3000、あるいはもっとか───
そんな音と共に、数えるのも馬鹿らしい数の光輪が宙に浮く

 その煌きは重なり合い、──まるで黄金樹のようにあたりを照らした

「私はミケラ。無垢なる黄金、ミケラ」
「先ほどは済まなかった」

 声は光輪、ミケラの光輪の上から届いた

「遅れたが、串刺し公メスメル。貴公に今宣言しよう」
「降臨、降臨である」
「私は新たな聖樹を築かんとする者」
「天賦の双子、その片割れ。無垢なる黄金、聖樹のミケラ」

 重なり合い、黄金樹のように輝く光輪の上に立つ者
降臨を宣言する者の名は──



「ミケラの、──光臨である」

無垢なる黄金、天賦の双子
聖樹のミケラ、影の地に降臨

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