エルデンリングDLC ミケラ登場シーン予想
光輪に降臨。これがやりたかっただけ
「ここまでだな」
「ハァ…ハァ……」
影の地──所々と燃え盛る野原にて、ふたりの戦士が相対していた
だが二者には、例え戦士でなくとも、一目でわかるだろう大きな差があった
ひとりは、貴人だろうか?
赤い鎧に蛇を纏わせ、槍を手に、地を見下ろす偉丈夫
1人は、騎士だろうか?
薄汚れ焼け焦げた鎧を身に着け、倒れ伏そうと地を見上げ、手にした剣を離さぬ褪せ人
立つ者と、倒れる者。実にわかりやすい差が、そこにはあった
こんなものかと、偉丈夫、マリカの子──串刺し公メスメルはもはや興味はないのか、倒れ伏した褪せ人から視線を外した
(これは、舐められているな。だが……)
敵から、視線を外す────
傲慢なそれに、褪せ人は何も言わない
傲慢だが、ある意味で正しいからだ
────メスメルと褪せ人の戦い
褪せ人は傷つき地に伏せる一方、メスメルは揺らぐこともなく立っている
メスメルに傷はあれど、致命傷には程遠く、殺すには足りてない。褪せ人は敗者だった
メスメルは、もう褪せ人の力を測り終えていた
星を砕く力も、流れるような技もない
ならば、他にいるかもしれない仲間を警戒する
それは当然のことで、ただただ正しかった。故にメスメルは、褪せ人にとどめを刺さずに生かしている
メスメルは蛇のように油断なくあたりを見渡しながら、褪せ人に問うた
「仲間はいるの──」
戦場において、「油断と侮り」は命取りであり、その対価は往々にして重い
「ッッッ!!」
僅かな隙を見つけた褪せ人は、地を獣のように這いながら右手の「ロングソード」を刺剣に切り替え、メスメルに迫る。
褪せ人が狙うは急所、首に心臓に腹。すなわち真正面
風のように早く、嵐のように強く踏み込んだ褪せ人は、懐に飛び込み急所を狙い突き刺した
────会心の一撃。戦神ラダーンをも倒した褪せ人が放った一撃は鋭い。
狭間の地を駆け巡り鍛えられたそれは、まさに致命の一撃。当たればメスメルトとて……
だがメスメルは1人ではない
「……シュー」
メスメルは視線を外したが、友である蛇はずっと褪せ人を見つめていた
「……」
当然に褪せ人は、メスメルの手に捕まってしまう。ググッと、メスメルは凄まじい怪力で褪せ人を掴んでいる
「ッッッ!」
掴まれた褪せ人の身体が白い闘気に包まれる。
これからの末路へのせめてもの抵抗か、戦技・我慢を使ったのだ
グッ。右手はメスメルに掴まれ、刺剣は届かず。
ギュ。その左手は、空いた右手に掴まれた
──カラン
刺剣を手放し、右手が空いた、褪せ人に
「!?、そうくるか!」
褪せ人も見られていることは分かっていた
故に褪せ人に防がれた動揺はなく、むしろ好機と捉えていた。褪せ人は「坩堝の祈祷・棘」を発動し、メスメルを串刺しにしようとする
褪せ人の策は、見事であった
だが、メスメルがしたように、油断と侮りは命取りであり、その対価は重かった
1つ。メスメルは褪せ人が思うより、自らに傷をつけ、今だ諦めぬ戦士を、褪せ人を警戒していた
2つ。メスメルは蛇を、友を信頼している
「見事だ」
当然それを、メスメルが許すはずもなく。メスメルは左手により力を入れ、褪せ人を掴んだ。
逃れられぬ褪せ人に向け、メスメルの右手からは火が噴出する。
それはメスメルたちの身ごと褪せ人の棘を強く焼いた
「………」
焼け焦げた褪せ人は、ただ沈黙していた
棘で幾らか軽減されたとはいえ、直接火で焼かれた褪せ人はもはや死にかけである。話すことも、メスメルを振りほどくことも、最早できないのだろう
「光無くとも、やはり戦士には変わらぬか……」
メスメルからは、褪せ人に対する油断はなくなり、彼は確実に褪せ人を殺そうとした
──戦場においてそれ、油断と侮りは命取りであり、その対価は往々にして重い
褪せ人はその対価を支払った
──そして対価とは時に、悪運とともにやってくる
そしてメスメルはまだ、対価を払いきっていないようだ
ブン───3つの聖なる光輪が、背後に大量の光臨を引き連れ、突如としてメスメルに降り注ぐ
「ッこれは、ミケッ!!?? グッッ!」
寝たふりから目覚めた褪せ人は、メスメルに短剣を突き刺しながら食らいつき、回避を妨害する
褪せ人とは今だ死にきれぬ、死者であり、みな戦士の末裔である
死の淵とて、褪せ人は挫けない
メスメルを振りほどけはしないが、しがみつく事はできる
「シャー!」
褪せ人を引き離そうと、蛇が噛み付こうとする。だがその時、"ドシュウ"という音が褪せ人の顔の穴から洩れた……
────否、叫ばれた。それは我慢、戦技・我慢、あるいは痩せ我慢。
騎士ベルナールから継承せし、戦士のたちの英雄譚のひとつ
褪せ人とはいまだ死にきれぬ者、戦士の末裔。いまだ戦士ならば、歯を食いしばりッ、立ち上がるのだろう! その最後まで!
「────!!、ッアア!」
意地で耐える褪せ人は、そのまま強引に坩堝の祈祷を発動しようとする
「グッ!!」
メスメルは、早く褪せ人を始末したかった
だが、四方八方から降り注ぐ光輪の雨を捌きながら、死にかけとて歴戦の戦士を殺すのは容易いことではない
光輪に集中すれば褪せ人、褪せ人に集中すれば光輪がメスメルを傷つける
「仕方ない!」
バッ。メスメルは被弾を覚悟し、褪せ人を強引に放りなげ、光輪の迎撃に移った
(とりあえずは助かった……)
褪せ人はしがみつくことより継戦を優先し、勢いを利用し遠くまで飛ぶと、地面に着地する
(こちらには飛んでこない。味方か、それとも……)
自身に光輪が飛んでこないと分かると、褪せ人は聖杯瓶で回復した
「ふぅ……」
「我々に顔を見せないのか? ミケラ──」
光輪を捌き切ったメスメルは、光輪が飛んできた方向に声を掛ける
その声には、僅かな苛立ちが混ざっていた
(ミケラ…探し人が向こうから来るとは……)
残り少ない瓶を見つめながら、褪せ人は悩んだ。ここで撤退するか、ミケラが出てくるまで戦いを続けるか……
「確かにここは戦場とはいえ、戦士の戦いに水を指しながら、顔も見せないのは礼を失しているな」
「勇猛なる戦士たちよ、ここに非礼を詫びよう」
「ほう…」
「ッ!」
メスメルはその力に目を細め、感心したが、褪せ人はその異様な光景に、思わず慄いた
ブン───
30、300、3000、あるいはもっとか───
そんな音と共に、数えるのも馬鹿らしい数の光輪が宙に浮く
その煌きは重なり合い、──まるで黄金樹のようにあたりを照らした
「私はミケラ。無垢なる黄金、ミケラ」
「先ほどは済まなかった」
声は光輪、ミケラの光輪の上から届いた
「遅れたが、串刺し公メスメル。貴公に今宣言しよう」
「降臨、降臨である」
「私は新たな聖樹を築かんとする者」
「天賦の双子、その片割れ。無垢なる黄金、聖樹のミケラ」
重なり合い、黄金樹のように輝く光輪の上に立つ者
降臨を宣言する者の名は──
「ミケラの、──光臨である」
無垢なる黄金、天賦の双子
聖樹のミケラ、影の地に降臨
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