2024/08/21

AC短編 ある男について【ARMOREDCORE】

 短編 ある男について


2024/08/23 追記:本編キャラの誰か、というわけではないです




 男には誇りがある。登りつめたという誇り。一塊の捨て駒から駆け上がった、意地だ。

 男には目的がある。ただ登りゆく目的だ。何がしたいかなど、とうに忘れた。

 男には記憶がない。父母の顔はもう薄れることすらない。ただ、消えるのみなのだろうか。

 男には苛立ちがあった。下らぬ目的は覚えている苛立ちだ。顔もしたい事も、わからない。

 男には過去がある。登りつめた過去は──


「先輩。つきましたよ。さあ! 行きましょう!」

「オーナー。ついでに私たち居残り組に、飯でも買ってきてください」


「────」男は立ち上がると彼らの後を追い、扉の向こうに消えた。自身が何を呟いたのか、男はわからなかった

 新たに気付いた過去は、絡みついた。不快ではない、ただ胸が苦しくなることがあるただそれだけのはずだ。


 男には諦めがある。安い強化人間を慕うものがいた。もう上り詰めることはなく、戻ることなど、できないのだろう。



2024/08/21

2024/08/28 追記

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