2023/11/18

ELDENRING考察4.2 【何になりたくて、何になった?】ライカード編+人の意思、あるいは野心。繰り返される継承と罪のリング

 エルデンリング考察【何になりたくて、何になった?】ライカード編+人の意思、あるいは野心について


雄心は肉に濡れ、蛇の手足となったのか?


「マリカの言霊 外廓の戦場跡」

デミゴッド、我が愛し子たちよ

お前たちはもう、何者にもなれる。王であれ、神であれ

そして、何者にもなれぬ時、お前たちは見棄てられる

…そして贄となるのだ


何者にもなれる』私はこの言葉が、エルデンリングにおける1つのテーマだと考えています

今回はそんな言葉から、エルデンリング
の登場人物たちを考えていきます

「覇王、あるいは冒涜の君主ライカード」



冒涜の君主ライカード 初戦ムービー



ゲルミア騎士は語ります

…かつて、ライカード様の冒涜の野心は、覇王の雄心であった

だが、その身を大蛇に喰らわせてから、それは下卑きった貪欲に堕したのだ

あれはもう、ライカード様ではない


人の意思、あるいは野心から考えるライカードと
繰り返される、継承と罪のリングについての考察
0【はじめに】
1【人の意思、あるいは野心とは?】
1.1【罪と禁忌】
1.2【野心の理由】
1.3【神肌の野心】
1.4【継承】
1.5【遺灰という継承】
1.6【戦技という物語、その継承】
2【人の意思、あるいは野心】
3【覇王ライカード、あるいは冒涜の君主】
4【考察まとめ】
5【継承と罪の輪/リング】
6【求める心】
7【蛇足の話し】
8【終わり】


0【はじめに】

こういった事は書いた考察に失礼なので言うべきではありませんが、書きます。

この考察は途中、別の考察を合わせて書きました。
そのために私の力量では乱雑で長いので、本考察の根底の考え、"繰り返し"について大体の要約を最初に書いておきます。



フロム作品、ソウルシリーズ※において、世界とも基幹ともいえる設定と法則や流れは大きく変わらない。
正確にいうならばストーリーや思想はよく似ている、あまり変わっていない、あるいは「繰り返されている」と私は思っています。
※SEKROも含みます

これについて、下に大まかなストーリーラインを書いて説明します

【ストーリーライン】

(1)使命を授かる(序盤)

目標の提示。

上級騎士との出会いや自筆の走り書き、エマからの手紙などが該当。エルデンリングにおいては、エンヤ婆(2本指)や白面のヴァレー。

(2)世界の探索(序盤〜中盤〜終盤)

世界を探索する。

正確に言えば、先人などが残したものを探索し、獲得し、知っていく。その過程において主人公は、少なかれ敵を殺すことになります。

使命を、為すべきことを、あるいは道を進むために

DS1「一時の呪い」
呪われて死んだ者の腕
一時的に呪死となり、亡霊と戦えるようになる

亡霊は呪われた存在であり
最も安全に呪われる方法があるのなら
死者の腕を切る冒涜も仕方がないだろう
それと戦うには自らも呪われる他はない


(3)世界蛇登場(序盤〜中盤〜終盤)

目的、使命などの案内役の登場。

ダークソウル無印では、上級騎士家に伝わる使命である鐘を2つ鳴らすと、世界蛇が出現します。
彼は主人公に新たな使命、正確には不死人の使命たる火継を提示し、そのためにグウィン王から分けられた王のソウルの回収に導きます。

ですが、王のソウルとはグウィン王から分けられたソウル。その最もたるといえるのが、死の神ニトと公爵シース。
死の瞳と伝道師はともかく、2者は偉大な存在であり、その殺害などまずまず許されないでしょう。

ですが世界蛇は言います、いずれも役目を終えていると。
そう、罪は許されたのです。神殺しの許し、これは他の作品でも言われます。

そうしてプレイヤーは選択し、道を進みます。

なお、以降のDSシリーズやエルデンリングにおいては、無印に比べ、比較的序盤から「気にすんなよ」と言われます


DS1「フラムト」
目的のソウルを持つものたちは
何れも、すでに役目を終え、あるいは道を誤っている
それらを倒し、ソウルを奪うことは
世界のヘビが認める、正しいことなのじゃ
お主が気にかけることなど、何もない。迷うでないぞ


(4)エンディング、選択の答え(終盤)

エンディングです。本考察に関連して書くことはありません。
選択の答えがここです。
»»»»»»»»»»»»»»»»»»»»»»


このようにSOULSシリーズにおいては、継承、罪、選択。受け継ぐ、罪を冒かす、選択する
といったことを、根本としていると私は考えます。


各作品ではさまざまな形で継承、受け継ぐということが表現され、それは継承という行為に対しても、同じく様々に表現されていると考えています。

ダークソウル無印で説明すると、神殺しとそれの許しは世界蛇。大罪はカアス。
エルデンリングにおいては、神殺しとそれの許しは、2本指。大罪に進むは、エンヤ婆とメリナに当たります


フロム作品には繰り返しさまざまに表現されるものや、3【覇王ライカード、あるいは冒涜の君主】などに書いたようにセルフオマージュが存在している。

それが本考察の考えとなります。

ここまでお読みいただき、ありがとうごさいます

終わり




1【人の意思、あるいは野心とは?】


Q:コンセプトアートとして発表されたキャラクターについて教えてください。

A:

本作の世界あるいは物語が持つ、一種の異様な側面、ほの暗さを象徴するキャラクターとして選びました。
『ELDEN RING』は王道のダークファンタジーではありますが、決してそれだけではないということです。
そしてあのキャラクターは、その一種の異様さのほかに、もうひとつのテーマの象徴でもあります。
それは人の意志、あるいは野心です。

ファミ通「『エルデンリング』フロム・ソフトウェア完全新作、宮崎英高氏インタビュー翻訳版を全文公開!【E3 2019】」より引用
https://www.famitsu.com/news/amp/201906/10177669.php


人の意思、あるいは野心とは何か?

本考察では「あのキャラクターこと」神肌の出現場所から
過去作から続く「人の意思、あるいは野心」と、ライカードについて考察します

【神肌、出現場所】

アルター高原、風車村ドミヌラ

リエーニエ、神授塔

ゲルミア火山、火山館

ケイリッド、神授塔

巨人山嶺、霊呼びの洞窟

ファルムアズラ、竜の聖堂


【1】

風車村ドミヌラでは使徒が出現。また火の大罪が入手でき、入口では霊体が剥ぎについて語っています


「火の大罪」

もっとも不吉な預言に由来する祈祷


周囲と共に、自らを激しく焼く

術者の炎上はしばらく消えず

自身と、近付く者を焼き続ける

タメ使用で強化される


預言者は、黄金樹を見上げ絶望する

もうすぐに、種火が滅びを燃え上がらせる


…黄金樹を焼くは、原初の大罪

人の身には決して許されぬことじゃ


「霊体、風車村入口」

「……

…ひぃ…、祝祭の歌が聞こえてくる…

…嫌だ、嫌だ…、剥がないでおくれ…

俺の皮は、穢れているぞ…」



【2】

リエーニエ神授塔道中には、貴種が出現
神授塔にはラニらしき肉体があり、「呪跡」が入手できます。
またカーリアの書院、入口では霊体がこのようなことを喋っています。


「……

…天球儀よ、後世に伝え給え。星と月の理を

そして、永遠に隠し給え。王女の罪を」



【3】

火山館。凄惨な拷問が行われていた館では、「蛇の羊膜」のある「エグレー大聖堂」前で黒炎僧兵が、中では貴種が出現します


「蛇の羊膜」

忌まわしい生誕の儀式の落とし子が

母の胎内で包まれていた羊膜


いつまでも乾くことなく、湿っている



【4】

ケイリッド神授塔でも、黒炎僧兵が出現
下層では、神狩りの剣を守るように使徒が出現します。



【5】

巨人山嶺、霊呼びの洞窟

ここでは他とは違い、霊呼びつむり遺灰のように呼び出され出現。霊呼びのつむりの撃破により「神肌のおくるみ」と「黒炎の儀式」が入手できます



【6】

竜餐と関連があると思われる失地騎士に囲まれた竜の聖堂にて
「神肌のふたり」という名で、単独ではなくHPを共有した四人の公王方式で貴種使徒が出現
また、ベルナールと共に戦えます



これらの出現場所から、いくつか共通点を考えました
神肌が出現する場所には、罪や継承に関連するものが見受けられます

そしてこれらの継承と罪は、意思と野心であり
過去作から表現されているものだと考えています


「継承」

・神肌(皮剥ぎ、神狩り)

・冒涜

・霊呼びの洞窟、霊呼びつむり


「罪」

・神肌(皮剥ぎ、神殺し)

・火の大罪(黄金樹の禁忌)

・王女の罪

・火山館

・黒炎僧兵

・ベルナール


1.1【罪と禁忌】

。それは誰が決めるのか?
時に、とある世界では「罪人とは神々や誓約を蔑ろにした者たち」と語られました


DS1「罪人録」

罪の女神ベルカの管理する記録帳

罪人とは、神々や誓約を蔑ろにした者たちであり

いつか暗月の刃に倒れる運命にある



それは狭間でも同じだと、私は考えます

「エンヤ」

…あんた、それは…

それは、人の身には決して許されぬことじゃ

黄金樹を焼くは、原初の大罪。まして、死のルーンの力を求めるとは…

死のルーンとは、即ち運命の死

黄金の律のはじまりに、取り除かれ、封じられた影

それを再び解き放つなど…

…指様は、いや大いなる意志が、決して許さないじゃろう


「ロルドの大昇降機、指読み」

…ねえ、あんた、婆に読ませておくれよ…

お願いだから、指を、あんたの指を…

…あなありがたや

…おう…おおう…

…帰るのじゃ

これよりは、巨人の火の地

近付くことは許されぬ

よいか。黄金樹を焼くは、原初の大罪

それは運命の死を解き放ち、やがて世界を殺す

そんなことを、誰があんたに許したのじゃ!

指様が、許すはずがない!


「火の僧兵の兜」

炎姿の頭冠の上から、鎖兜をかぶったもの

火の僧兵たちの装束


巨人たちの山嶺にあるという

黄金樹の禁忌たる、滅びの火

彼らは、その監視者である



「火の僧兵の鎧」

赤衣を纏った黒鉄の胴鎧

火の僧兵たちの装束


胸当てに象られた異形の面は

古い火の悪神であるという

禁忌は、恐れによって刷り込まれる



黄金樹を焼くは大罪
罪や禁忌とは、上位者の作るもの
そして、それを許すのも、彼らなのでしょう


「指読み、エンヤ」

…ああ、それとあんた…

どうやら、黄金の追憶を持っているようだね

…デミゴッド、そして偉大な英雄たちは

滅びてなお、黄金樹に追憶として刻まれる

…それは、そうした代物さね

そして追憶は、その主の力を宿している

もしあんたが、それを手にし、振るうことを望むのなら…

指様のお力を借りてあげるよ

…なあに、躊躇することはないんだよ

指様は導いておられる。あんたたち褪せ人が…、奪うことをね




そう、略奪すら許されました。彼らに許されたように


「タニス」二つ目の依頼達成後


黄金樹は褪せ人に祝福を与えた

だがそれは、導きの使命に対して、とても小さい

…故に、褪せ人は力を漁り争う。そうすることを求められる

かつてエルデンリングが砕けたとき、大ルーンの君主たちが求められたように



「略奪のカメオ」

火山館の主、法務官ライカードの厳格な肖像が刻まれたタリスマン

敵を倒したとき、HPを回復する

ライカードが背律の冒涜を誓ったとき

あらゆる略奪は肯定された

神自身がそうであるように



──神殺しすらも

「…ああ、大ルーンなら、デミゴッドたちが持っておるよ

エルデンリングの宿主、神たる女王、マリカの子供たちがね

彼らは皆、大ルーンの力に歪み、争い…、だが誰も、エルデの王にはなれなんだ

だからこそ、お主たち褪せ人に、祝福がもたらされたのさ

…ほら、指様も仰っている


“大いなる意志は、デミゴッドたちを、とうの昔に見捨てている

褪せ人よ、躊躇は要らぬ。存分にやつらを殺し、奪うがよい”


…けれども、あんた、気を付けることだね

デミゴッドたちは、皆が女王マリカの直接の子

ただ接ぎ木のゴドリックだけが、遠い子孫にあたり…

故に神の血は薄く、最も弱かったのだから」



何時も何処も、多くの罪や禁忌は赦されました

仕方がない。道に、あるのだから


DS1「一時の呪い」

呪われて死んだ者の腕

一時的に呪死となり、亡霊と戦えるようになる


亡霊は呪われた存在であり

それと戦うには自らも呪われる他はない

最も安全に呪われる方法があるのなら

死者の腕を切る冒涜も仕方がないだろう


DS1「フラムト」

目的のソウルを持つものたちは

何れも、すでに役目を終え、あるいは道を誤っている

それらを倒し、ソウルを奪うことは

世界のヘビが認める、正しいことなのじゃ

お主が気にかけることなど、何もない。迷うでないぞ



DS3「エルドリッチのソウル」

彼は陰った火の先に、深海の時代を見た

故に、それが遥か長い苦行と知ってなお
神を喰らいはじめたのだ



時に何かを成すとき、罪を冒さなければ進めない。故に何かを成す英雄とは、大罪を冒すのかもしれません

ライカードもまた、為すために罪を冒したのでしょう

「冒涜の君主の追憶」

黄金樹に刻まれた

冒涜の君主、ライカードの追憶


永遠に生き、喰らい、成長し続ける

そのために、ライカードは大蛇となった

我は知る。冒涜の道の遠き険しさを

罪を厭って歩めるものか



ライカードが行ったことは単純に、殺し、その力を得れば強くなる
なら、より強い者(英雄)を食らえばどうなるか?

結果は効率の良いレベリング
。殺して、奪って、LVを上げる。ゆえに英雄とはチャンピオンであり
「英雄とは汚れた道を行くもの」と、タニス殿は語るのかもしれません


「タニス」一つ目の依頼達成後


貴公、依頼をこなしてくれたのだな

嬉しいよ。これで貴公も背律者、真に火山館の一員というわけだ

約束の礼だ。受け取ってくれ


…貴公、忘れないでくれ。背律の戦いは、英雄への道だ

どれだけ汚れていようとも、いや、汚れているからこそ

それは英雄への道なのだ



「ディアロス」

…ああ、分かっている。ラニアのことだろう…

そうだな、私は…

復讐は止めにしたのだ

苦悩の末の決断だった…

タニス殿が仰るには…

私には、英雄の道を行く資質があるという

そして真の英雄とは、敢えてこそ、汚れた道を行くものだと

…瞳に光が射した思いだったよ

ああ、それこそが、私に足りぬ覚悟であったと

勿論、ラニアは気の毒だった

あれは、悲しく、残酷な出来事だった

けれど、その悲しさ、残酷さに惑わされては、私は英雄になれぬだろう

きっとラニアも分かってくれる。彼女と、私の、過酷な運命を

だからこそ、英雄の道たる歩むのだと


※ディアロスの場合は、「兄のように誰かを守りたい」などではなく

「なりたい」に見えるので、汚れた道を進もうと、英雄には成れないと思いますが



ですが、その道の多くは罪を赦す側の望む道
愚弄され、餌にされ、尊厳の反逆を翻したライカードが憤った、漁りあうという行為


「タニス」二つ目の依頼達成後

我が王は、それに憤った。分け与えられたものを漁りあう、そんな浅ましい生き方など、受け入れられぬと

黄金樹が、神が我らを愚弄するならば、

背律の冒涜を犯してでも、尊厳の反旗を翻す

それが我が王、ライカードの決意であり、火山館の意志なのだ

…貴公が、このまま英雄の道を行くのならば、いずれ我が王に見えるだろう

戦う者たちの邂逅は、いつも美しいものだ

その時が楽しみだよ、ふふふ



他者を愚弄し、漁ってでも反逆をなす
それが彼の歩む、汚れた冒涜の道であり、罪なのかもしれません



1.2【野心の理由】

そして野心とは何か。ただ罪を冒すだけでは、「人の野心、あるいは野心」とは言えないと考えます



修羅となり得るほど殺し、掟を破ってでも、為すべきこと


「別の記憶・葦名の古忍び」

別の誰かが残した記憶

心残り、あるいは執念と呼べるもの


これは、かつて葦名に仕えた、ある忍びの記憶

腕を斬っていただいた

隻猩の名をいただいた

その恩を、きっと返さねばならん



大罪すら踏み越えて、目指すもの


「…だが、今は…

…今は、指様は止まり、我らには、大いなる意志に触れる術もない

世界と生命は壊れ、指様すら知らぬ、起こるべきないことが起こっている

…どうして、大罪が大罪のままであると言えようか

…だから、あんた、やっておしまいよ

自分が正しいと思うことを、やればいいさね



彼らが王を、目指した理由



アストラの上級騎士 鍵を持つ死体を投げ入れる









「…ご主人さま、ひとつお願いがあるんです

あなたを、わが王と、お呼びしてもよいでしょうか

…ご主人さまたち褪せひとは、エルデの王を目指すものと、聞きました

オイラは、ご主人さまが王さまになると思ってますし…

ご主人さまのような優しい人が、王さまになって欲しいと、思っています

だから、お許しいただきたいのです

あなたを、わが王と呼ぶことを



「…久しぶり、貴方

少し、話をさせて欲しい

…黄金樹の内に、入れなかったのでしょう?

棘の覆いが、貴方を拒んだ

…それは、拒絶の刺

黄金樹が、外のすべてを拒む、自我の殻

エルデンリングに見え、エルデの王になるためには

その刺を越えなければならない

…私の使命は、そのためのものだった

だから、また私と旅をして欲しい

遥か雲の上、雪深い巨人たちの山嶺、その頂にある、滅びの火まで

そうしたら、黄金樹を焼くことができる

…そして貴方を導ける。エルデの王たる道に



…伝えておきたい、ことがある

私の使命は、母から授かったもの

けれど、今はもう、私の意志になった

母の意志とは関係なく、ただ私が望む、世界の姿のために

私が、心に決めたもの

…誰にも、それを侮辱させない

もちろん、貴方にも




人の野心とは、罪を冒してでも願いを叶えることなのだと思います
願ってくれるものがいる、諦められないものがある
例え、分不相応、異端でも


「戦いの残滓・葦名弦一郎」

葦名弦一郎は、市井の生まれである

母が死んだのち、葦名に引き取られた


巴の雷と呼ぶ、異端の技の遣い手である

葦名存亡の鍔際。異端こそ、この国を護るのだ



そしてただ願いのためではなく、英雄に成るために罪を冒す
手の中の願い無く。あるいは、もはや理由なく、斬るために斬る
そういった者はときに修羅と、呼ばれるのでしょう


逆手に持つ楔丸は血に濡れ、黒の不死斬りを持つ左手は尋常ならざる火が湧き出ている
逆手に持つ楔丸は血に濡れ、黒の不死斬りを持つ左手は尋常ならざる火が湧き出ている








「楔丸」

主である竜胤の御子・九郎より授かった刀

葦名の庶家である、平田氏に伝わるもの


失っていたが、再び狼の手に戻った


楔丸の名には、願いが込められている

忍びは人を殺すが定めなれど、

一握の慈悲だけは、捨ててはならぬ…


その願い、時に刃が汲むこともあろうか




一握の慈悲、あるいは理由。それこそが、罪人を英雄に留める、大切な楔なのかもしれません

諦められない思い、あるいは欲。それが幾度死のうとも、人を人に足らしめる意志。狼と源一郎、あるいは不死者たちの共通点であり、力なのだと思います


1.3【神肌の野心】


彼らには背景がありました。なら神肌の罪、神肌の野心、彼らの願いとは何か?
ときに神肌の使徒たちの武器は、なにか別の用途があるように思えます


神肌剥ぎ

切り裂く鎌の刃と、穿つ螺旋の針を持つ

秘色の両刃剣。神肌の使徒たちの得物


対称性のない異形の両刃剣であり

使用には熟練を要する



神肌縫い

秘色の刃を持つ、優美な刺剣

神肌の貴種たちの得物


貴種たちの剣技は衆に優れ

武器の大きさに比して、その連撃は

目にも止まらぬほどに速い



針と縫い。この繋がりについて、プレイヤーはよく知っています

「縫い針」

牙のように曲がった、太い縫い針

亜人のボックの大事なもの



神肌とはまさに、皮を剥いで縫う裁縫者であり、彼らの武器は裁縫道具なのだと思います

そして、お針子ボックですが、彼には大切な人がいます


…母さまにお伝えしたら、喜んでくれますかね?

オイラはもう、王家のお針子にだって負けないんだって

…ああでも、まだダメかなあ

母さまのように、ゼロから仕立てられるようにならないと


「…え、それは、まさか…

取り返してくれたのかい?オイラの縫い針を!


「う、うう…

なんだってあんた、そんなによくしてくれるんだい

オイラの母さまは、お針子でさ

…それは母さまの形見なんだよ

オイラ、母さまみたいになりたくてさ

だったら、このまま死んじゃあだめだよな…


私はこれを示唆。神肌もまた同じであり、彼らの女王が理由なのだと考えます


「神狩りの剣」

かつて神肌の使徒たちを率い

マリケスに敗れた、宵眼の女王の聖剣


使徒たちの操る黒炎は

この剣によりもたらされた


専用戦技「女王の黒炎」


剣身に神狩りの黒炎を燃やし、斬り払う戦技

追加入力で追撃に繋げられる

また黒炎は、しばらくの間HPを削り続ける



宵眼の女王が率いた、神肌の使徒。彼らには、2つのおくるみがありました


「神肌のおくるみ」

すべやかな肌を縫い合わせた

神肌の使徒たちの聖布


攻撃が連続すると、HPを回復する


産まれたばかりの使徒は

これに包まれ、宵眼の女王に抱かれる

そして神の死となるのだ


「黒炎の護り」

神肌の使徒たちの、黒炎の祈祷のひとつ


自らの内に黒炎をおこし、物理カット率を高める

ただし、あらゆるHP回復量が少なくなる


使徒たちは皆、宵眼の女王に抱かれ

黒炎を内なる鎧とした




何故、神肌が女王に率いられたのか?
それは、彼らが親子であったからだと、私は考えます


「おくるみ地蔵」

赤い布に包まれた小さな童地蔵

手のひらに乗せ拝むと、

回生の力を一回分獲得できる


地蔵をくるむのは、親ごころである

くるみ包まれた中、

せめて安らかに命がありますように



「デーディカの禍」

皮膚を剥がされた狂気の肖像

慈しみの薄笑いを浮かべている


被ダメージが増える


デーディカという名のその女は

あらゆる不義、姦通を行ない

無数の異形の子をなしたという




親である宵眼の女王は神人であり、神を目指したのだと思います

ゆえに子である神肌たちは、親を神とするべく、神の死として戦ったのだと思います

女王のため、技を磨き、神を殺し、皮を剥ぎ、皮を纏う。それが神肌の野心でありなのだと考えます


「黒炎の儀式」

神肌の使徒たちの、黒炎の祈祷のひとつ

その高位とされるもの


自身の周囲、円状に黒炎の炎を燃え上がらせる

タメ使用により、その円が大きくなる


使徒たちを率いた、宵眼の女王

彼女は、指に選ばれた神人であったという




1.4【継承】

罪とは、上位者の定めるもの

ならば継承とはなにか

私はこういったものだと考えています


…大いなる意志よ、聞くがよい

我が名は背律者ベルナール

友の遺志を継ぎ、お前を潰す

我らはお前の駒ならず。それを思い知らせてやる



「遺志」あるいはそういったモノは、様々な世界、様々な形で受け継がれ、継承されていきました

DS1「アルトリウスのソウル」

深淵に飲まれたグウィン王の騎士

アルトリウスのソウル


深淵狩ったというアルトリウスの伝説は

しかし道半ばで終わっていた


あるいは堕ちた彼を討ち、誇りを救った物が

実際の伝説の主、深淵を狩る者となるのだろうか



DS3 「嵐の曲剣」

嵐の竜の力を帯びた曲剣


古竜の同盟者たる無名の王は

生涯、嵐の竜を戦場の友とし

竜が倒れたとき、そのソウルを己のものとした


神代では、それは戦友の習わしであったのだ


戦技は「竜巻」

大きく回転しながら刃に嵐を纏い

またその勢いのまま、強攻撃でその嵐を叩きつける



「死血の雫」

血の遺志を宿した死血の雫

使用により血の遺志を得る


夢に依る狩人は、血の遺志を自らの力とする

死者に感謝と敬意のあらんことを


推定ライカードを喰らう蛇



代行、介錯、強盗、殺害
様々な形で継承は、受け継がれ、為されてきました。

エルデンリングで言えば、これも継承でしょう

「…ああ、それとあんた…

どうやら、黄金の追憶を持っているようだね

…デミゴッド、そして偉大な英雄たちは

滅びてなお、黄金樹に追憶として刻まれる

…それは、そうした代物さね

そして追憶は、その主の力を宿している

もしあんたが、それを手にし、振るうことを望むのなら…

指様のお力を借りてあげるよ」



ですが殺しによる継承は、当たり前に危険な側面もありました

「忍びの業・身業」

形代の所持上限が増加する常在効果


形代は心残りの幻である

ゆえに業深いものには、形代が多く憑く


多く殺した忍びは、

その身に業を背負い、生きることになる



「奥義・纏い斬り」

一部の義手忍具使用後、

刀に義手忍具の効果を、纏わせる派生攻撃


牙と刃が一体となる、忍義手技の奥義である


この奥義を最後に、仏師は忍義手を捨てた

極め、殺しすぎた。怨嗟の炎が漏れ出すほどに



斬り続けた者は、やがて、修羅となる。何のために斬っていたか…。それすら忘れ、ただ斬る悦びのみに、心を囚われるのじゃ。お主の目にも、修羅の影があるぞ」



決して狂わぬことの、なんと難しいことか
故に、険しき道なのでしょう

特に、慈悲深い、忍びにとっては


「獣の業」

形代の所持上限が増加する常在効果


形代は心残りの幻である

ゆえに業深いものには、形代が多く憑く


罪のない獣に、

人の業を背負わせていたのだろう

殺めたものの業を引き受ける

それもまた、忍びである



「戦いの残滓・怨嗟の鬼」

ある男が、修羅になりそこない、

怨嗟の炎の積り先となった


因果ゆえ、なかなかに死にきれぬ

だが、鬼となり、ようやく逝けた




怨嗟の鬼の攻撃の一つに、誘導性の炎を飛ばすものがありますが、その炎の中には鬼仏がありました


「ライカードの怨霊」

冒涜の君主、ライカードのおぞましい力


燻る怨霊を放ち、その軌跡に

間をおいて連続する爆発を生じる


それは、英雄たちの非業の怨霊である

彼らは、王に見え、歓迎と共に貪り食われ

大蛇の中で、王の家族になったのだ



人形の何かを飛ばす。人が何かを、追う。ライカード自身、あるいは類似するそれらの技、追う者たちもまた、原理は似たようなものなのかもしれません。


1.5【遺灰という継承】


継承は、エルデンリングでは新たに「遺灰」という形でも現れました


「魔女レナ」

それは、霊喚びの鈴でな

黄金樹に還ることのなかった遺灰から、霊を喚ぶことができる

そして霊たちは、一時お前を主とし、かつての戦いを思い出すのだ

…まあ、お前の好きに使うがよい



これがなかなか便利で頼もく、MOBからBOSSまで状況に合わせ「チリンチリン」と、遺灰から呼び出せます
もはや新しい武器種と言っても、過言ではない強さです


霊呼びの鈴で、遺灰を呼び出す褪せ人


そんな遺灰、基本的な入手方法は
拾う,奪う,殺して遺灰にするですが、少し変わった?入手方法2つあります

一つは自らの意思で遺灰になった「しろがねのラティナ」
もう一つはローデリカより、託された「霊クラゲのクララ」
※はぐれ狼の遺灰も魔女レナより譲り受けた物です


「霊クラゲの遺灰」

霊魂の宿った遺灰

霊クラゲの霊体を召喚する


ふわふわと辺りを照らす霊体

遠い故郷を探す、泣き虫な少女のクラゲであり

けなげに毒液を吐いてくれる


名をクララというらしい



「しろがねのラティナ」

霊魂の宿った遺灰

しろがねのラティナの霊体を召喚する


自らの意志で遺灰となった、珍しい存在


ラティナは、魔力の弓の名手であるが

半身たる狼、ロボを失っており

召喚された場から動くことができない



この二名には遺灰となってなお、行くべき場所、為したいことがあり、死してなおそれは果たされました


「霊クラゲ」


…お姉ちゃん、どこに行ってしまったの?

約束したじゃない。14歳になったら、一緒に星を見ようって

私ずっと待ってるよ。もうずっと、ずっとずっと待ってるよ…


ああ、お姉ちゃん、やっときてくれた

さあ、いこう。一緒に星を見にいこうよ



「しろがねのラティナ」


ああ、その割符は、貴方が持っているべきだ

そして叶うなら、私の願いを聞いてもらえないだろうか

…私は、帰らなければならない

私の狼、ロボと別れてなお、果たすべき使命があるのだ

だから、連れていってくれないか。ミケラ様の聖樹の地に

もし、願いを聞いてくれるのならば、貴方に伝えよう

もう一つの割符、その在処を



さあ、我らの大きな妹よ

受け入れておくれ、最初の雫を

そして命を為しておくれ。我らすべてのしろがねのために


…ありがとう、貴方

ようやく、使命を果たすことができた


我らの大きな妹は、きっと希望を為すだろう

これでもう、悔いはない

最後まで貴方と戦おう

…そしてもし、戦いが終わったときは

私を葬ってくれないか。我が狼、ロボの傍らに




例え死すとも、力も願いも受け継がれ残る。

死した後に果たされる願い。
それこそが人の意思。紡がれていく意思でしょう



そして遺灰システムに話しを戻しますが、似たようなことを行うEnemyがいます。
霊呼びつむり」です

霊呼びつむりもまた、プレイヤーのように、チリンチリンと、様々な霊体を呼び出し攻撃してきます



紫色の波動(霊呼びの鈴)



紫色の波動(霊呼びつむり)



霊呼びつむりが生きている限り、その霊体は、かつてのように戦う
霊呼びのつむりもまた、召喚者であり、その力の継承者なのでしょう


1.6【戦技という物語、その継承】


「…大いなる意志よ、聞くがよい

我が名は背律者ベルナール

友の遺志を継ぎ、お前を潰す

我らはお前の駒ならず。それを思い知らせてやる」


前述の通り、排律者ベルナールは友の遺志を継ぎました
騎士ベルナールは戦学びのボロ屋にて、「戦技」を教えてくれるさい、戦技についてこんなことを語ってくれます

「…この地には、私もまだ知らぬ、数多の戦技がある

それは、戦士たちが武器を掲げ戦い、敗れ、死んでいった証

もっとも雄弁な、英雄譚なのだ

だから私は、剣と戦技が好きだ

それは破れること、死することの意味を教え、与えてくれる


敗れること、死すること、その意味

確かに、戦技とは雄弁な英雄譚であり、戦士たちの物語なのでしょう。私も、それは正しく、間違いないと思います


「浅ましく漁り合う。これが我ら、褪せ人よ…」


ですがベルナールは、それだけではないと、私は考えます
褪せ人が漁ってきたものたち、あるいはこれから漁られるものたち、死に、意味はあると。


「獣集いシリーズ」

小さな獣たちを刻んだ銀の胴鎧
背律者ベルナールの装備

獣は英雄に惹かれ、王に惹かれる
故にこれは、王たる英雄の鎧であり
ベルナールはそれに相応しかった

彼の巫女が、火に身を投げるまでは


敗れること、死すること、その意味

彼は証明をしたかったのかもしれません。死に、意味はあると、進んだ道に意味はあると



褪せ人とは戦士の末裔であり、戦士が力を求めるならば、戦技とはすなわち受け継がれる力

それがどのように受け継がれ、振るわれるとしても、継承には違いないのかもしれません

私はそう考えます。



2【人の意思、あるいは野心】

神肌たちがなぜ、テーマの象徴に選ばれたのか
私は彼らが、神を狩り、王にしたい神人がいたからだと考えます

女王のため、神と戦う誉れ高い、意思の側面。
目的のため、神を狩り、殺した者の力を纏い振る、ほの暗い野心の側面
象徴にふさわしいと考えます


「貴種の腹芸」

神肌の貴種が振るう古き力


大きく腹を突き出し

周囲を弾き飛ばす衝撃波を生じる

タメ使用で強化され、敵を打ち上げる


それはかつて、神の怒りであったが

貴種の神狩り、その勲章のひとつとなった



意思とは、継がれるもの。野心とは、目的のため罪を犯し、時には神すら殺すことではないかと考えます
意志と野心には、さして差はないのかもしれません

そして、人の意思とは自由であり、駒ならず
ゆえに……


「マリカの言霊」女王の閨

おお、ラダゴンよ、黄金律の犬よ

お前はまだ、私ではない。まだ、神ではない

さあ、共に砕けようぞ!我が半身よ!


「マリカの槌」

狭間の外、稀人の地で作られたという石鎚

女王マリカが、エルデンリングを砕こうとし

ラダゴンが、それを修復しようとした得物


リングが砕けた衝撃で、半ば壊れており

ルーンの破片が食い込んでいる


専用戦技「黄金砕き」


ふわり跳躍し、ルーンの破片に光を宿し

それを空中から、思い切り叩きつける戦技

ラダゴンの英雄的殴打


「女王マリカは、エルデンリングの宿主、その幻視を宿す者

すなわち神さね

けれど彼女は、エルデンリングが砕けた後、黄金樹に囚われておる

神として、律の砕け、その大過の罰としてね

…指様が仰っている


“マリカの大過は、大いなる罰に値する”

“だが彼女は、罰せられてなお神であり、幻視の器なのだ”」


「マリカの言霊」外廓の戦場跡

デミゴッド、我が愛し子たちよ

お前たちはもう、何者にもなれる。王であれ、神であれ

そして、何者にもなれぬ時、お前たちは見棄てられる

…そして贄となるのだ



彼女の意思、あるいは野心は、母の愛でしょうか?
そしてライカードは強いられ、選びました。

らは駒ならず 尊厳を持って反逆せん!!


人々の意思、あるいは野心
それは罪に濡れてなお、気高く輝くのかもしれません




3【覇王ライカード、あるいは冒涜の君主】


「冒涜の聖剣」

冒涜の君主、ライカードの聖剣

彼の喰らった無数の人々、英雄たちの亡骸が

剣身の表面でうねうねと蠢いている


それらは、いまや血を同じくした家族であり

敵を倒したとき、HPを回復する



その火は背律の為、食われた人々の血肉から燃える意志であり、まさに冒涜
その剣は尊厳の為、苦難の道を喰らい進む勇者の剣であり、まさに聖剣

まさに冒涜的な継承と野心

ライカードの振るう、冒涜に濡れてなお、聖剣と呼ばれるこの剣は
タニス殿が言うように英雄の証明なのかもしれません


ですが"ライカード"は、ゲルミア騎士によると、「堕ちた」とも言われています


「ゲルミア騎士シリーズ」

かつて、法務官ライカードに仕えた騎士たちの胴鎧


今はもう、誰も掲げない紋章が描かれている

覇王の雄心が、下卑きった貪欲に堕した時

彼らは、使えるべき主を失ったのだ



かつて冒涜を誓い、蛇にその身すら食わせたライカード
今がライカードの望みであり、その野心なのか
ゲルミア騎士が嘆くように、もはや墜ちてしまっているのか
ライカードは何になりたくて、何になったのか


「世界食らいの王笏」

世界を喰らわんとする大蛇の王笏

冒涜の君主が、いつか掲げんとする象徴


その様は、大蛇に喰われたライカードが

臨死に垣間見た、未来の幻視であるという




私が思うに彼の言う"ライカード"は、大蛇に喰われたときに死んでおり、託しているのでしょう


「ゲルミア騎士の霊」

…かつて、ライカード様の冒涜の野心は、覇王の雄心であった

だが、その身を大蛇に喰らわせてから、それは下卑きった貪欲に堕したのだ

あれはもう、ライカード様ではない


「世界食らいの王笏」

世界を喰らわんとする大蛇の王笏

冒涜の君主が、いつか掲げんとする象徴


その様は、大蛇に喰われたライカードが

臨死に垣間見た、未来の幻視であるという




大蛇に喰われたライカードは、臨死に垣間見、考えを変えたのかもしれません
覇王ライカードではなく、蛇が世界を喰らう未来、あるいは己の野心を超え、世界すら喰らう蛇を見て


ですが、自身ではなく、他者にやらせるというのは
彼らにとって、許せなかったのかもしれません

何故なら、ライカードと部下たちがすでに冒涜を行っていたとしたら、悲惨でしょう
覇王ライカードの野心に捧げられた冒涜が、無為になってしまう
蛇がライカードという疑似餌で、世界を喰らえば、その過程でライカードの名はどれほど汚れるか
しまいには蛇が世界を喰らう



だから、探したのかもしれません
覇王ライカードを、慕っていたからこそ

彼の下には嵐が届きました


「大蛇狩り」

大剣でもあり槍でもある武器

古い時代、不死の大蛇を狩ったとされ

大蛇と対した時、長き光の刃を生じる


覇王の雄心が、下卑きった貪欲に堕した時

騎士たちは、主を止める武器を探したのだ


戦技「大蛇狩り」

全力で突き、追加入力で突きあげる戦技

大蛇と対した時、長き光の刃を生じ

真の力を発揮する



「ストームルーラー」

「巨人殺し」の異名を持つ大剣

折れた刀身は、今でも嵐の力を宿し

巨人を地に打ち倒すという


巨人ヨームはそれを二本持っていた

一本は、彼を信じぬ人々に与えられ

もう一本は、薪の王となるその前に

一人の友に託されたという


戦技は「嵐の王」

構えにより嵐をその剣に纏わせる

その真価は、巨人を前にしたとき分かるだろう




ライカードは、黄金樹の望む王には成りませんでした。ですが、彼は「覇王」の名で呼ばれています

「彼らは皆、大ルーンの力に歪み、争い…、だが誰も、エルデの王にはなれなんだ


「ゲルミア騎士シリーズ」

かつて、法務官ライカードに仕えた騎士たちの胴鎧

今はもう、誰も掲げない紋章が描かれている

覇王の雄心が、下卑きった貪欲に堕した時

彼らは、使えるべき主を失ったのだ




ライカードは王を名乗り、あるいは巨人ヨームと同じく王を乞われ、けれど心から望まれていたのだと思います

「王の薪」

巨人ヨームが残した王の薪


王が玉座に戻らぬならば

その薪を戻せばよい


孤独な巨人は、罪の火を鎮めるため薪の王となった

彼を王と呼ぶその声に、心がないと知っていても




故に彼らは、止めるための武器を探し、死してなお託し果たそうとしました
約束など無く、ライカードは望んでいなかったのかもしれません

「…かつて、ライカード様の冒涜の野心は、覇王の雄心であった

だが、その身を大蛇に喰らわせてから、それは下卑きった貪欲に堕したのだ

あれはもう、ライカード様ではない

…殺さねばならぬ

あのお方の名を、野心を、これ以上辱めないためにも



冒涜的な継承の末、どこか歪な輪のように


エルデンリング。エーグレーの聖堂

ダークソウル3 冷たい谷のイルシール。ボス部屋


エルデンリング 火山館。牢屋

ダークソウル3 イルシールの地下牢


聖堂、あるいは監獄を超えた先で、王が討たれたように

「冒涜の君主、ライカード」は、託された刃にて討たれました


ダークソウル3 罪の都、ボス部屋。死体の山
金銀と死体の山と椅子

エルデンリング 火山館、ボス部屋。死体の山
死体の山と豪華なシャンデリア



あるいは神喰らいの蛇が…


ダークソウル3 アノール・ロンド 「神食らいのエルドリッチ」ボス部屋
汚泥に沈む骨




ライカードは、覇王あるいは冒涜の君主を目指し、最後に大蛇になったのかもしれません

人が特別なのか、人の形が特別なのか、ときに、人形には不思議な力が宿り、人を追います形にも宿るのなら、その血肉は如何ほどか?


SEKIRO「形代」 ただよう白い形代  人に限ったことではないが、 なにか心残りがあれば、その思いが 幻として形を取って見えることがある  義手忍具など、形代を消費することで 使えるアクションがある (追記人形である)
人形の形代



「蛇人の遺灰」
溶岩の鞭を振るう、異形の蛇人の霊体
遥か昔から、ゲルミア火山に巣食う老蛇
デミゴッドを喰らい、蛇人どもを産み落としたという



「ライカードの大ルーン」
ライカードは、レナラとラダゴンの子の一人である
彼らは、ラダゴンが女王マリカの王配となった時
外戚としてデミゴッドとなった

そしてライカードは、冒涜の蛇に喰らわせたのだ
己が身と共に、偉大なる大ルーンを



「獣の業」
形代の所持上限が増加する常在効果

形代心残りの幻である
ゆえに業深いものには、形代多く憑く

罪のない獣に、
人の業を背負わせていたのだろう
殺めたものの業を引き受ける
それもまた、忍びである



Bloodborne「血の穢れ」
カインハーストの血族、血の狩人たちが
人の死血の中に見出すという、おぞましいもの
血の遺志の中毒者、すなわち狩人こそが、宿す確率が高いという



「ライカードの怨霊」
冒涜の君主、ライカードのおぞましい力

燻る怨霊を放ち、その軌跡に
間をおいて連続する爆発を生じる

それは、英雄たちの非業の怨霊である
彼らは、王に見え、歓迎と共に貪り食われ
大蛇の中で、王の家族になったのだ


人の形をしたものが対象を執拗に追い、ときに憑くのは、蛇に人の姿が混じっていたのと同じ、心残りの執念なのでしょうか

少なくとも「冒涜の君主、ライカード」は倒されたのでしょう


ですが、「一度生まれたものは そう簡単には死なない」不滅の蛇、思想はとくに死ににくい
その後、ベルナールは友の遺志を継ぎファルムアズラへ、タニス殿はライカードを宿すためその身を食らい始めました


少なくともライカードを思い、3人は動きました
タニスとベルナールは遺志を継ぎ、ゲルミア騎士は止めようとした

ライカードは、確かに慕われていました


4【考察まとめ】

・人の意思、あるいは野心は、過去作から表現されていたと考える
・人の意志とは受け継がれる継承
・野心とは、罪を冒しても為しとげること
・女王のため神と戦う誉れ高い側面と、殺した者の力を纏い振るうほの暗い側面。故に神肌は象徴に選ばれたと考える
・ライカードは、覇王あるいは冒涜の君主を目指し、最後に大蛇になったのかもしれない
・冒涜の君主は「託された刃」により倒されたが、それはライカードが慕われていたからであると考える。また、死後もライカードを継ごうとした者がいた



5【継承と罪の輪/リング】

ときに、継承と罪は過去から輪のように繰り返しながら受け継がれ、リングへと紡がれました
"リング"。それは不死人の代からずっと、主人公たちの傍にあったのでしょう

祝福あるいは呪い、導きとして

「ダークリング」

呪われた不死人の証

このリングが現れたものは、死んでも蘇り

やがて心をなくした亡者となる


リングはまた自死の力を持ち

使用者は人間性とソウルを全て失い

最後に休息した篝火に戻る


「指読みのエンヤ、2本指の言葉」

偉大なるエルデンリングは、黄金の律

それは世界を律し、生命は祝福と幸福を謳歌する


「ラダゴンの爛れ刻印」

エルデのルーンが刻印された瞳

「伝説のタリスマン」のひとつ

それは、王配ラダゴンのであるという


生命力、持久力、筋力、技量が大きく高まるが

被ダメージもとても大きくなる


強き使命は、その主を蝕む

まるで逃れ得ぬ呪いのように


私見ですが、爛れ刻印は血晶石に良く似ています。特に、強いほど爛れているところが


「血晶石の工房道具」

狩人の夢から失われていた、工房道具の1つ


これを取り戻した狩人は

血晶石を捩じりこみ武器を強化できるようになる


結晶石の強化は、また武器の性質を様々に変化させる

それは、血そのものが生き物を規定するように



DarkSeoul 3 祭司長エンマ

英語名「Emma」


SEKIRO エマ

英語名「Emma」


Elden Ring 指読み、エンヤ

英語名「Enia」


こうして並べると、不思議です。なにか意味があるのでしょうか?
個人的には閻魔大王からとられており、プレイヤーたちに判を下す者に、つけられる名前かもしれないと考えています



6【求める心】

一握の慈悲、あるいは理由。
それこそが、罪人を英雄に留め、ときに原動力になるならば、その枷や楔が外れてしまえばどうなるのか?


特に火の無いものが火を求めるような、そんな感情/理由は、人をより怪物に近づけ
あるいはそう見せますが、ときにそれが怪物を人に戻すのかも知れません


「深淵の主マヌス」


深淵の主マヌスのソウル

それは尋常のソウルではなく

どろりとして生あたたかい、優しい人間性の塊である


マヌスは、古くとも明らかに人であった

人間性を暴走させ、深淵の主となった後も

ずっと寄る辺、あの割れたペンダントを求めていた


「泣き虫」

泣き虫の指輪によって強化された指笛

形代を消費して、使用する


獣の類を狂わせるだけでなく、

怨霊の類を苦悶させ、隙を作ることができる


泣き虫の指輪の裏には「川蝉」と彫られている

落ち谷の水辺で、川蝉は泣いていた

いまは、もういない



「泣き虫の指輪」

ほそ指に似合う、古い指輪

指輪の裏には「川蝉」と彫られている

「指輪」の強化義手忍具の作成に使える


この指輪をはめて、指笛を吹くと

悲しげな音が、響き渡る


泣き声は、寂しく美しい

燃える怨嗟を、ほんの一時、忘れるほどに



「城主エドガー」

…イレーナ

なぜ、こんな…

娘が何をしたというのだ…

…私の、せいなのか

お前よりも、主将たるを選んだ

これがその報いなのか…


…見つけ出してやる

お前を、こんな目に合わせた畜生どもを

きっと見つけ出し、根絶やしにしてやるとも…

ああ、イレーナ。きっと、そうしてやるとも…



「太陽虫」

廃都イザリスに蠢く不気味な寄生虫

まったく動かないが、完全に死んではいない


頭にかぶることができ、かぶるとまぶしい光を放つ

太陽虫の名はその光に由来するものだ



求める心・人の意思が、人を怪物に変えることがあるのかもしれません
ですが時には、それこそが人を英雄にするのでしょう


誓約 「太陽の戦士」

太陽の戦士たちに与えられた古い護符

ホーリーシンボルが描かれている


装備することで「太陽の戦士」の誓約者となる


太陽の戦士は、輝ける協力者であり

それを求める誰かのために、黄金のサインを書き

召喚者を成功に導く使命があるのだ



自分の世界で、火を継いだソラール。彼が求めていた太陽を、見つけられたのかは分かりません
ですが、彼の描いたシンボル、歩んだ道のりは、遠い時代においてなお、輝ける太陽、導きとなりました


そして喪失はときに枷を外し、楔となります。多くを殺した忍びですら、人にし、鬼神のように強くします

「戦いの記憶・葦名弦一郎」

心中に息づく、類稀な強者との戦いの記憶
鬼仏に対座し、戦いの記憶と向き合うことで、攻め力を成長できる
葦名弦一郎、掟で定めた復讐の相手であった


「竜泉詣でのミブ風船」

竜泉詣での年に、

子の健やかな成長を願って作るミブ風船


この白いミブ風船を割り拝み、

その水を浴びたものは、

一時的にすべての入手量と入手確率が上昇する


下手な字で、何か書かれている

「ムジナから、テン吉へ」と読める



喪失により、狼の牙はより強くなり、復讐を遂げました

一方ムジナの枷は外れ、楔により彼は子供を守ろうとしました
その最期は人の親でした



7【蛇足の話し】

蛇足ですが、ライカードの姿について一つ考えを

ライカードはかつて反逆のため、蛇に大ルーンごと己が身を食わせました。

それ故か、作中でライカードと戦う際は、ライカード?の顔が浮かんだ蛇と戦うことになります
ですがこの蛇の姿は面白いことに、手足の生えた蛇なのです


ライカード


「…何者も、我を律せられぬ

蛇は、不滅よ」


手足のない蛇に、手足がある
まさに、何者にも律せられぬのでしょう
ですが、手足は時に配下を意味するもの

あの手足は、喰われた人々の果てなのか?
それとも...ライカードが"蛇の手足"になってしまっているのか
そんな、蛇足の話でした


8【終わり】

これにて本考察は終わります
ここまでお読みいただき、ありがとうございました


【追記】

11/19 人形の形代関連について画像を追加し、追記しました

「人形のなにかを飛ばす」くだりを加筆しました、

7【蛇足の話】「そんな、蛇足の話でした」を加筆しました

11/20
1.2、3、1.3に加筆しました

2024/2/3
6【求める心】に加筆しました

2024/5/18 5/20
18日に、0【はじめに】を追加。
本考察の根底の考え、"繰り返し"について大体の要約が書かれています

20日に、0【はじめに】を加筆しました。

2024/5/25
1.5【遺灰という継承】の文を変更しました
「 新たに「遺灰」という形で現れました」を
「新たに「遺灰」という形でも現れました」に変更しました

1.6【戦技という物語、その継承】を追加

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